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制震構造とは?仕組みや戸建てで導入するメリット・デメリット、耐震・免震との違いを解説

制震構造の仕組みと耐震・免震との違い

このコラムでは、地震や台風などで建物にかかる力を吸収し、揺れを軽減する「制震構造」の仕組みや、一戸建てで制振装置を採用するメリット・デメリットを解説します。

耐震・免震構造との違いや、耐震と制震を組み合わせた地震に強い木造住宅工法「テクノストラクチャーEX」についても紹介。

繰り返す大地震に備え、長く安心して住み続けられる家づくりを検討中の方は参考にしてくださいね。

 


コラムのポイント

・制震構造は、ダンパー(制震装置)で構造を支え、地震や台風で建物にかかる力を吸収することで、揺れを軽減して建物の損傷を最小限に抑えられるメリットがあります。

・制震構造を取り入れることで、繰り返しの地震による建物へのダメージ蓄積を抑え、強度を長く保ち続けられます。

・木造住宅では、大地震による建物の倒壊を防ぐだけでなく、その後も住み続けられる家にするために、耐震構造にプラスして制震構造を組み合わせる方法がおすすめです。


 

 

制震構造とは?仕組みを解説

制震ダンパー「テクノダンパー」の変形抑制効果

(画像引用元)テクノストラクチャーEX:震度7の巨大地震の後に住み続けられる家を建てよう|パナソニックの耐震住宅工法

 

制震構造とは、ダンパーと呼ばれる制震装置を使って構造を支え、地震や台風などで建物にかかる力を吸収し揺れを軽減することを指します。

地震の揺れによって生じたエネルギーを制震装置が吸収することで、建物の揺れを抑えて小さくし、建物の損傷を最小限に抑えます

制震ダンパーには、オイルダンパー、ゴムダンパー、鋼材ダンパー、制震パネルなどいくつかの種類があり、建物の構造や規模、間取り、予算などに合わせて選択します。

 

制震構造のメリット・デメリット

木造住宅で制震構造を取り入れるメリットとデメリットについて詳しく解説します。

 

メリット①建物へのダメージを抑制して強度を長持ちさせる

制震構造のメリット

(画像引用元)テクノストラクチャーの家とは|パナソニックの耐震住宅工法

 

上記の図のように、制震ダンパーを設置した家は、地震によるエネルギーを吸収して揺れを減衰し、建物の変形量を抑えられます。

2024年1月の能登半島地震で倒壊した建物は、数年にわたって繰り返し発生していた地震によるダメージが蓄積されていた可能性も指摘されています。

耐震構造で建物を強固に固めることに加え、制震システムを組み合わせることで、地震による建物の損傷を最小限に抑え、建物の強度を長持ちさせることにつながります。

また、揺れを抑えることは、家具の転倒被害を防止し、壁紙を破れにくくするなど、家や家財の資産価値を守ることにもつながります。

 

メリット②共振現象・キラーパルスによる倒壊を防ぐ

地震で建物が倒壊する原因になる大きな要素は「強い揺れ」「繰り返しの揺れ」「共振現象」の3つがあります。

共振現象とは、地震の揺れの周期と建物の固有周期(建物の揺れが1往復する時間)が一致することによって、建物の揺れが増幅されることを指します。

建物高の低い戸建てでは、短い周期の揺れで共振が起こりやすくなり、逆に高層マンションなどでは長い周期揺れで共振が起こりやすくなります。

特に、「キラーパルス」と呼ばれる約1〜2秒の特に短い周期の揺れが起こると、木造住宅に大きな被害をもたらす可能性があります。阪神大震災や熊本地震でもキラーパルスが起きたと言われています。

建物の揺れを吸収する制震ダンパーは、共振現象を抑え、木造住宅でキラーパルスによる倒壊を防ぐのにも効果的です。

 

メリット③揺れを感じにくく快適性が向上する

地震エネルギーを吸収できる制震ダンパーによって、建物の中にいる人が揺れを感じにくくなる点もメリットです。

揺れによる恐怖感が減るため、居住性が向上し、余震が続く状況でも安心が得られます。

 

メリット④台風にも効果がある

制震構造は、地震だけでなく、台風などの強風による建物の揺れも抑える効果があります。

台風が頻繁に接近する地域や、強風が多い地域で家を建てる場合も、制震構造を取り入れることでメリットを得られます。

 

メリット⑤比較的低コストで導入できる

制震構造は、ダンパーが比較的低コストで設置もしやすいことから、一般的な戸建て住宅で導入しやすいという点もメリットです。

制震構造を戸建て住宅へ導入する場合の費用は1棟あたり50~100万円前後で、地盤に対する制約もないため、免震構造と比較して取り入れやすい手法です。

また、制震ダンパーは基本的にメンテナンスの必要がなく、設置後のコストも抑えやすいというメリットもあります。

 

デメリット・注意点①適切な配置が重要

制震構造は、制震装置(ダンパー)は、適切な位置に適切な数を設置しないと、十分な制震効果が発揮されない可能性がある点に注意が必要です。

また、制震ダンパーは建物に使用される建材の種類や間取りなどによって適切な種類が変わってきます。

建物の構造や地盤条件なども考慮して設計する必要があるため、制震構造の専門知識があり、施工実績が豊富な住宅会社に相談することをおすすめします。

 

デメリット・注意点②制震装置で耐震性が上がるわけではない

制震構造は、揺れを吸収する役割がありますが、建物自体を強固にするわけではないため、制震ダンパーだけで住宅の耐震性が上がるわけではない点も知っておく必要があります。

制震構造は、建物の耐震構造を確保した上にプラスして取り入れることで、地震対策を強化するという考え方になります。

 

制震構造と「耐震」「免震」の違い

制震構造と耐震構造、免震構造の違い

制震構造とともに地震対策で用いられる「耐震構造」「免震構造」の違いや、それぞれのメリット、デメリットについて解説します。

 

「建物自体を強くする」耐震構造

耐震構造とは、壁量を増やす、接合部を強固にする、柱・梁・壁など構造部材の強度を高めるなどの方法で建物自体を強くして、地震の揺れによる損傷や倒壊を防ぐことを指します。

耐震構造は建築基準法の「耐震基準」や住宅性能表示制度の「耐震等級」で一定の基準が定められており、地震に強い家づくりの基本になります。

耐震等級で最高レベル「等級3」の木造住宅は、熊本地震でもほとんどが無被害や軽微な損傷だったことから、その効果も実証されています。

〈メリット〉

  • ・戸建てから大規模建築まで幅広く採用されている地震対策として最も基本的な構造
  • ・「耐震基準」として建築基準法でも一定のレベルが定められている
  • ・コストも比較的抑えられ、建物の倒壊を防ぐ効果が実証されている

〈デメリット〉

  • ・繰り返しの揺れによって損傷が蓄積される
  • ・壁量を確保するために間取りに制限が出る場合がある

 

 

「地盤と建物の縁を切る」免震構造

免震構造とは、基礎と建物の間にゴムなどの緩衝材(免震層)を設け、地盤と建物の縁を切ることで地震の揺れを受け流して建物に伝わりにくくする仕組みを指します。

免震構造は地震による建物被害や家具の転倒などを抑えるという点では最も高い効果が期待できる一方で、採用できる地盤の制約があり導入コストが高い点などがデメリットになります。

〈メリット〉

  • 地震による建物の損傷や家具の転倒を防ぐという点で高い効果が得られる
  • 特に大地震に対して力を発揮する

〈デメリット〉

  • 軟弱地盤や液状化の恐れのある地盤、地下室のある建物への対応は難しい
  • 建物自体が一時的に動くことがあるため隣地との距離を確保する必要がある
  • 装置が大掛かりなため一戸建てでは数百万円のコストがかかる
  • 精密な装置のため定期的な点検やメンテナンスが必要

 

木造住宅は耐震+制震の家づくりがおすすめ

テクノストラクチャーEXの特徴

(画像引用元)強さ|ロング&スマート テクノストラクチャーの家|パナソニックの耐震住宅工法

 

木造住宅では、建物を強固にする「耐震等級3」+建物の揺れを抑える「制震システム」を併用した家づくりがおすすめです。

感動ハウスでは、耐震と制震構造の両方を取り入れた木造住宅工法「テクノストラクチャーEX」を提供しています。

テクノストラクチャー工法の特徴について紹介します。

 

①耐震等級3を上回る耐震性能

テクノストラクチャーEXでは、耐震等級3を上回る、建築基準法の最低基準の1.75倍※の地震力で強度確認をします。

また、繰り返し起こる大地震にも耐えられる住まいにするため、全棟構造計算を実施し、建築基準法で定められている基準よりもはるかに多いチェック項目を設けています。構造に負担のかかるほぼすべての部位の強度と、住まい全体のバランスを確保します。

※積雪量を加算して地震力を想定する場合、割増係数を1.75未満とする場合があります。

 

②耐震+制震システムでダメージを最小限に

木と鉄の複合梁「テクノビーム」

(画像引用元)強さ|ロング&スマート テクノストラクチャーの家|パナソニックの耐震住宅工法

 

テクノストラクチャーEXでは、木と鉄を組み合わせた独自の梁「テクノビーム」を用いた高い耐震構造と、建物の揺れを吸収して損傷を抑える制震装置「テクノダンパー」を組み合わせ、建物への影響を最小限に抑えます。

テクノダンパーが建物の変形を抑え、建物にダメージを蓄積させない役割をすることで、繰り返し起こる大地震に対抗し、建物の耐震性を長く維持します。

 

③4D災害シミュレーションで実際に建てる家を強度確認

テクノストラクチャーEXの4D災害シミュレーションによる強度確認

(画像引用元)強さ|ロング&スマート テクノストラクチャーの家|パナソニックの耐震住宅工法

テクノストラクチャーEXでは、1棟ごとに「4D災害シミュレーション」を用いて強さの検証を行います。

4D災害シミュレーションとは、検討している間取りに震度7の独自の人工地震波を3回繰り返して与え、建物の変形が抑制できているかを確認するというものです。

4D災害シミュレーションは、実際の建物で行う振動実験よりもコストを抑えつつ、自分が実際に建てる間取りの家が揺れに耐えられるかを確認できるメリットがあります。

 

 

まとめ

制震構造は、ダンパー(制震装置)で構造を支え、地震や台風で建物にかかる力を吸収することで、揺れを軽減して建物の損傷を最小限に抑えられるメリットがあります。

制震構造を取り入れることで、繰り返しの地震による建物へのダメージ蓄積を抑え、強度を長く保ち続けられます。

木造住宅では、大地震による建物の倒壊を防ぐだけでなく、その後も住み続けられる家にするために、耐震構造にプラスして制震構造を組み合わせる方法がおすすめです。

感動ハウスは、耐震と制震を組み合わせ、4D災害シミュレーションで実際に建てる家の強さを確認できる耐震住宅工法「テクノストラクチャーEX」の正規施工店として、耐震等級3・長期優良住宅・ZEH基準の高品質なマイホームをご提供しています。

耐震性はもちろん、快適&省エネな断熱性、おしゃれなデザインや暮らしやすい間取りにもしっかりこだわります。

感動ハウスの間取りやデザイン、快適性を体感できる展示場もご用意しております。来場予約や資料請求などお気軽にお問い合わせください。

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監修者情報

感動ハウス編集部

感動ハウス編集部

私たち感動ハウスは「帰りたくなる家」をテーマに、心豊かな時間を感じる空間づくりを大切に、日々の暮らしの中に、感動のある家をつくります。

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